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ナンパ事情

日本ではたった一度もされたことがないのに、ロンドンにいると週に一度はナンパに遭遇する。この前の金曜日は、体調が悪く仕事を休んでいた。頭が痛かったが、買い置きしていたと思っていた頭痛薬がきれていたので、仕方なく薬局に行くことに。そして重い身体を引きずって家を出た瞬間、「ハロー。ご近所さん。」と声がした。声がした方を見ると、見ず知らずのフランスなまりの若者が家の前の道を通りすぎるところだった。「君、とてもセクシーだね。今度コーヒーでも一緒に飲まないかい?」 私は、頭が痛いし熱もある。しかもめずらしくスッピンだったものだから、これ以上タイミングの悪いナンパはない。だから、「ありがとう。じゃーね。」と握手をしてさっさとその場を去った。

こんなこともあった。イースター休暇の旅先から戻ってきて、空港から家までの電車を待っていると、待合室の向かいの席に座ったでっぷりと太った黒人のおじさんが、「お嬢さんは、どこに行ってきたんだね。僕は、オーストリアとイタリアを旅行してきたんだ。」と言う。「アムステルダムに行ってきました。」と答えると、おじさんは「じゃあ、君の住所を教えてくれ。今度たずねていくよ。」と全く先の質問と関係のないことを言い出す。「知らない人に住所を教えちゃいけないって、基本じゃなかったけ?」と私が言い返すと、おじさんは「そーだよねー。」と言ってその場を離れて行ってしまった。
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また、仕事の帰り道、インド系の青年に声をかけられた。彼は、出張で何度か日本に行ったことがあり、もっと日本のことを知りたいのだという。これは、よくある日本人相手のナンパのきまり文句だ。でも、私は「一期一会」をモットーとしているので、よっぽど自分が急いでいるか、相手が変な目つきでない限り、愛想良くすることにしている。しばらく道端で話をしてみると、彼は日本のことを結構よく知っているし、教養もある人だということが分かった。私が、「もう、帰らなきゃ」と切り出すと、彼は「君に電話番号を渡したい。紙とペン、持ってる?」ときく。ナイと答えると、彼は「待って、待って、そこでちょっと待ってって。」と言いながら、目の前のCDショップに入っていった。そして興味にそそられた私も続いてCDショップに入っていった。そこで、彼は店員からペンを借り、紙切れに電話番号を書いて私に渡した。「99.9%連絡くれないと思っているけど、待ってるよ!」と言い残し、店員がくすくす笑う中彼はさっさっと店を出て行き、人ごみにまぎれて見えなくなった。その後、この彼には電話をしなかったけれど、もししていたら私の人生もう少し楽しかったかもしれない。

ナンパに遭うたびいつも感心するのが、彼らの自信満々な態度だ。話が終わった後はあっさりしたもので、笑顔ですっと去っていくのも、すがすがしい。彼らは、真剣に出会いを探しているわけでも、「アソビ」の相手を見つけようしている雰囲気でもなく、たまたま道を歩いていて気がついた女性とのつかの間のやりとりを楽しんでいるような感じだ。だから、仕事に疲れて帰る道のり、少しさみしい気分の冬の夕方のナンパは、私に元気をくれる。一回も、そこからロマンスが生まれたことはないのだけど・・・。
by ldnshigoto | 2007-06-11 06:46 | 出会い